石垣りん

私はこの夏上高地へ行った、 そびえたつ山々は大きく 私はちいさかった 一緒に行った友もちいさかった 問題にならないほど 人は皆ちいさかった。 人の通る道は 山をはう一筋の糸のごとく 糸よりもあるいは細く なお消え消えにつづいていた、 その道を登った